ガールズスケーターの群像劇を描いた漫画 『スケッチー』第2巻が発売

取材に基づいたリアルな描写

次はリアルスケーターならば思わず オッ! と唸ってしまうポイントを紹介したいと思います。

それは、ずばり“リアリティの追求”です。そのリアリティとは何かというと、作中に出てくるプロスケーターやスケートパーク、登場人物の着ているアパレルから使っているデッキまで、すべてが実在するものを描いているということです。

例えば、作品内には国内のスケートボードビッグイベントではこぞって会場として使用されているムラサキパーク東京や、都内で最も多くのスケーターが集まるパークのひとつ、駒沢公園などが出てきますし、それ以外にも現在世界ランカーとして活躍しているトップガールズスケーターや、スケーターの定番アパレルといえるThrasherのパーカーまでもが登場するのです。これらは実際にスケートボードをやっている人ならば、思わず反応してしまう部分ではないでしょうか。

それもこれも、作者さんや編集部の方々の綿密な取材があるから実現できているのです。

よくこういった類の作品は、完全なるフィクションであり表面的なところしか捉えていなかったりする作品も多々ありますが、『スケッチー』は連載開始前にアメリカまで足を運んでX-GAMESを観戦して勉強したり、ニューヨークやオーストラリアにも取材で足を運んで、綿密な準備を重ねたりした上で連載をスタートさせています。

国内も女子パークのトップライダーである四十住さくらさんのところまで取材に行くなど、全国を精力的に動いて得た確かな知識をベースに漫画が描かれているので、リアリティのある世界を表現できているのです。

それに『スケッチー』(Sketchy)というタイトルも、もともとはスケートボードの専門用語のひとつで、トリックをメイクしたけど完璧ではなく微妙…という意味があります。それが転じてイケてないなどという表現にも使われますが、これを漫画に落とし込んでみると、スケートボードを始めたばかりの初心者が主役の作品なので、意味合いもどことなくシンクロしていきます。

そういった部分でも『スケッチー』のリアリティの追求は本物といえるのではないでしょうか。

もちろんそれ以外にも作中に出てくる女子会で使っているお店が実在する話題の店舗だったり、スケートボード以外の部分でも楽しめる要素がふんだんに盛り込まれているので、そこはスケーターではない人でも思わず反応してしまうことでしょう。

もし10年後にガールズスケーターのインタビューをしたら、始めたきっかけが「漫画の『スケッチー』を読んで」という人も出てくるかもしれませんね。

過去の作品がTVドラマ化されている作者・マキヒロチ
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